教室について - 目次

教室について

グループ紹介

血液・腫瘍・免疫

臨床の概要

血液・腫瘍・免疫グループは、白血病、再生不良性貧血などの小児血液疾患、小児固形腫瘍、難治性ウイルス感染症および原発性免疫不全症を中心に臨床を行っています。血液・腫瘍の領域では、治療成績向上のため、全国規模のグループスタディーが行われるようになっています。これは、解析に必要な十分な症例数を集めて臨床データの信頼性を高め、よりよい治療法を開発するために不可欠の方法です。その上で、”病気のこどもたちはひとりひとり違う”ということを常に念頭に置き診療にあたっています。そのために患者さんひとりひとりについて主治医はもとより、グループ全体で毎週検討会を行っています。この検討会には隔週でPOC(Pediatric Oncology Conference)として小児外科、放射線科、整形外科、緩和医療科の医師も加わります。月1回脳神経外科医との脳腫瘍カンファレンス、病理医との固形腫瘍病理カンファレンス、臨床検査技師との骨髄像検鏡会、宮城県立こども病院血液腫瘍科との連携を密にするための合同カンファレンスを行っています。興味のある方は是非御参加ください。原発性免疫不全症ではPIDJ (Primary Immunodeficiency Diseases in Japan)の診療機関となっています。 造血幹細胞移植適応のある患者さんに対しては、同種骨髄移植、末梢血幹細胞移植、臍帯血移植などの同種造血幹細胞移植も多数実施しています。2023年までに東北大学病院小児骨髄移植チームとして同種骨髄移植約220例、同種末梢血幹細胞移植約30例、同種臍帯血移植約60例を実施しております。この他に固形腫瘍や脳腫瘍の患者さんを中心に自己末梢血幹細胞移植が行われています。また、小児がんのトータルケアをどのように行うかも重要な課題となってきています。看護師、臨床心理士、院内学級教師、CLS (チャイルドライフスペシャリスト)・HPS(ホスピタルプレイスペシャリスト)、MSW(医療ソーシャルワーカー)、保育士を含め、医療スタッフ全体で情報を共有してこの課題に取り組んでいます。

 東北大学病院は平成25年2月に東北地区で唯一の小児がん拠点病院に指定されました。西5階病棟の多くを占める血液腫瘍疾患の子供たちの診療に当たるため、小児腫瘍センターを新たに開設し、病棟セミクリーン域の設置や病棟アメニティの向上、多職種医療スタッフの充実、長期フォローアップ外来と移植後フォローアップ外来の開設を行いました。宮城県立こども病院血液腫瘍科と連携して、東北地区の小児がん診療の中心的役割を果たしています。詳しくは下のバナーからご覧ください。

東北大学病院小児腫瘍センター

研究の概要

現在進めている研究の方向性は大きく2つに分けられます。一つは、原発性免疫不全症の病態解明で、もう一つは造血細胞および小児がんの癌化機構の解明です。

発性免疫不全症の分野では、東北大学は世界に先駆けてX連鎖重症複合免疫不全症の原因遺伝子をクローニングした大学であり、以前からこの分野の研究をリードしてきました。また、Wiskott-Aldrich症候群についても詳細な病態解析を分子レベルで行っています。これらの研究は、疾患研究を通して、ヒトの免疫機構や、その破綻による易感染性の病態を解析する上で格好の情報を提供してくれる重要なものです。今後は遺伝子治療の臨床応用にも取り組んでいく予定です。最近は、この研究成果を応用し、新規免疫不全症の病態解析、免疫不全症に合併する小児がん発症機構、遺伝性血小板減少症の遺伝子解析、乳児期発症炎症性腸疾患の網羅的遺伝子解析や病態解析を進めています。

もう一つの課題は造血細胞と小児がんの癌化機構の解明です。その第一歩としてこれまでに様々な白血病細胞株を樹立してきました。特に有名なのは前土屋教授が樹立したTHP-1です。Tohoku University、Department Pediatrics-1がこの細胞株の名前の由来で、世界中で広く使われています。最近、脳腫瘍などの小児がん癌化機構を遺伝子レベルで網羅的に解析する事で、新しい分子標的療法を行えるようになれば患者さんにとっては大きな福音になるため、このような網羅的な遺伝子解析の研究を始め、実際に治療に結びついています。

EBウイルス関連疾患の研究も行っており、特に慢性活動性EBV感染症の発症機序の解明や至適造血幹細胞移植療法の研究を進めています。

主な参加学会

日本小児科学会、日本小児血液・がん学会、日本血液学会、日本造血・免疫細胞療法学会、日本小児感染症学会、米国血液学会、欧州免疫不全症学会・アジア太平洋免疫不全症学会・米国臨床免疫学会